<Mより発信>
『生協運動』959年5月号に編集部による「せいきょう時評 年とともにひろがる国際交流」という文章があり、当時の国際情勢や世界の協同組合との交流の様子がよくわかる内容です。2回にわけてご紹介します。

【せいきょう時評 年とともにひろがる国際交流】その1
世界は年々せまくなっていきます。昔より早いジェット機がつくられ、北極の上を一またぎにする北極空路がひらけて、羽田からスエーデンのストックホルムへわずか一日でいけるようになりました。16世紀の初頭にマゼランがイスパニヤをたって南アメリカの南端を通り太平洋へでて、さらにフィリッピンまでくるのに半年近くもかかったのを思いおこしてみると、まるでユメのようなはなしです。
それと同時に、何千キロ何万キロの海をへだて、人種も国情を異なる人と人との関係もずいぶん近いものとなってきました。
けんかとか戦争とかいうものは人と人との間、国と国との聞が疏遠となり、うまく意志が通じないところにおきるものです。もちろん、人の閻、国の間の遠い近いは単に距離的なものでだけおしはかることはできませんが、それにしても手っとりばやくいったりきたりでき、自由に話しあいができるならば、争わなくても解決できることがたくさんあるはずです。
一時あれほどはやった鉄のカーテンということばもいつか忘れられるようになり、アイゼンハウアーとミコヤン、フルシチョフとマクミランというように東西巨頭連の行ききと話しあいによって冷い戦争ということばもだんだん過去のことになろうとしています。〝人の交流が平和の前提となる〟というのはたしかに真理です。
運動というベルトで国際的につながっている協同組合が活動家の交流を重んずるのは当然ですが、ここ数年日協連を中心とする国際交流が目だってふえているのはうれしいことです。
次に御紹介するのもその一つでわれわれを感激させるに十分なものをもっています。

古本売って留学生を招請
日協連は今年の夏アメリカ協同組合連盟の招請によって、福田繁(日協連事務局)・大谷正夫(東協連事務局)の両氏を6ヵ月間、スタンフォード、カリフォルニヤの両大学へ留学させることになっています。
この留学生を受けいれ、往復旅費、滞在費、学費の一さいを負担してくれるのはカリフォルニヤ州にあるパロアルト、バークレーという2つの単協なのです。
2月号でもちょっと御紹介しておきましたが、パロアルト生協ではそのための資金カンパとして2ヵ月にわたって古本セールを行っています。
〝日本の生活協同組合の若いリーダーを招くためのキョ金を〟パロアルト生協の機関紙は福田・大谷両氏の写真と略歴をのせて、こう組合員に資金カンパをうったえております。一人を招くのに1,000ドル(36万円)が必要なのですが、パロアルト生協ではそれをぜんぶこうした方法で組合員のカンパで集めようとしているのです。
この運動は組合員の全面的な支持をえ、1ヵ月の古本セールによってすでに600ドルがキョ金されたそうです。
このとおといお金で留学される二人の人はもちろん、われわれもアメリカの生協運動者のあたたかい友情に心から感謝しなければなりません。

〝アメリカの良心〟と賀川会長
生協運動にたずさわっている人なら誰でも知っているように、国際協同組合運動の共通スローガンは、〝よりよき生活と平和のために〟ということです(注:この点についてはどこでも決まっていないはずというご指摘あり。編集部の文責)。内には協同し助けあうことによってよりよき生活がもたらされ、外には交流し友好をふかめあうことによって平和がもたらされます。
協同組合活動家の国際的交流はこの他、相手国の組織や経営を学び、同志としてはげましあうといった二重、三重の効果を発揮します。アメリカのように資本主義体制が強固で、日常業務の面でもこれとの斗いなしに生協をのばすことは不可能であるような国においてはとくにそうです。この点では日本も条件が似ているので、その運動からは学ぶところがおおいでしょう。
アメリカの生協運動については日協連会長賀川さんの影馨が非常に大きいのです。1929年の大恐慌の後アメリカ大統領に選ばれたルーズヴェルトはニューディール政策をうちだし、これによって経済のたて直しを行いましたが、そのなかで生協を中心とする各種協同組合の運動が積極的にとりあげられました。こうした事情のもとに1935年から36年にかけて賀川さんはアメリカへ招かれ、半年もの各地を廻って120回の講演を行い、100万人の聴衆を集めてキリスト教精神にもとずく協同組合論と平和論をうえつけました。
「賀川豊彦博士は6ヵ月のアメリカ旅行で協同組合教育を行い、多数の人々に消費組合(生協)が世界平和の経済的基礎であることを理解させた。」
当時アメリカ協同組合連盟はこのようにいって賀川さんに感謝しました。
アメリカの協同組合運動が今日〝アメリカの良心〟とよばれ、勤労大衆の生活を守るために努力していることのなかに、賀川さんの影響をみるのは、われわれとしてもほこりたかいことです。
→その2へ続く

【2010/06/09 23:48】 | アーカイブ
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