【アジア協同組合大会に参加して 勝部 欣一】その2

その1はこちら

分科会討議で信販問題など検討
二日目の討議は次のような分科会にわかれて行われました。
(1)連合会と教育部会(出席者、賀川、田中、荷見)
(2)生協部会(十二村、勝部、沖津)
(3)農協及び信用部会(吉野、一楽、秋山)
(4)住宅部会(平山、武正、片山)
この内、連合会と教育部会では現在特に、生協理念を昂揚させる必要があるといわれ、又、プロパガンダの施設設置、例えばライブラリイ設置の必要性、或いは、人物交換などのために国連・ユネスコの機関を積極的に利用すべきこと等がうちだされました。
また、生協部会では、日本が現在かかえている問題として4点を提示しました。
(1)団体法・独禁法等の動きにみられるカルテルの問題
(2)技術援助との関連性における国際貿易推進の問題
(3)掛売(信用販売)問題解決にあたっての困難性
(4)セルフ・サービス等のための合理化推進問題

発展しめすアジアの生協
この内(3)の信販問題については、アジア各国における信用事業増加の著しい傾向がうかがわれました。マラヤでは都市特に、政府機関に働く官吏間で非常な普及をみており、労金に似た作用さえしているという事でした。それに関連して日本における労働金庫の発展について発表したところ、大きな関心が示されました。又、合理化推進については各国とも協力を約してくれ、あわせて提案した「留学生交換」の問題については、スエーデンのボノー氏等から、スエーデンとしては「滞在費は、こちらもちで招待できます」との好意的な発言を得る事ができました。
分科会から感じた事は、アジア諸国の生協運動が、こちらで考えていた以上に発展しているという事です。これは政府の庇護政策にもよるようですが、ビルマでは、数多くの大店舗をもち、15%の割戻しを行なっているとの事であり、タイ等でも事業連活動を通じて卸売り制度が大変にのびている模様でした。大会最終日に議長のボレー氏が演壇へおりてきて「この150人の参加者の内に婦人代表が只の1人というのは大変に淋しい」と述べたところ、そのマラヤからの婦人代表はすぐ立って「アジアでは、男の女に対する態度にまだまだ封建制の残滓がみられるが、それを婦人の側から打破るためにも、もっと婦人の積極的な活動が望まれる」と言い拍手をあびていました。

生活水準の高いマラヤ
ここでちょっと、マラヤの印象を述べてみましょう。独立後最初の国際会議であったためか、マラヤでは大会に非常に力を入れている様子でした。洗練された紳士といった印象の総理大臣のラーマン氏も、レセプションに何度も顔をだし一同をねぎらっていました。
クアラルンプールは非常に美しく、またゆたかで生活水準も高いようで、独立後まもない国の首都らしく活気にみち、あちこちで、たくさんの学校を建設中でした。
またこの国は、マラヤ、中国、インド、ヨーロッパと、4つの人種が、入りみだれた合衆国であり、あたかも東洋のスイスのような観を呈していましたが、それらの多人種の合作の上での国作りが成功するならば、世界における人種偏見の壁をやぶる一つのトッパ(突破)口になりうると思います。

アジア事務局はマラヤか?
大会最後の重要議題となったものに「ICAアジア事務局をどこにおくか」の問題がありました。これは技術援助にかかわることであるため、マラヤをはじめ、どの国も、自国への設置を希望し、収拾がつかなくなりかけた時、賀川会長が「日協連はICAの決定に従いましょう。執行部で検討してきめて下さい」と、少しも自国に固執しない発言をしたので、会場の空気は一変し、執行部一任と決定しました。大勢から見て、マラヤにきまるでしょう。
なお、中国加盟問題についても社会主義国であるビルマの加盟が、目前に迫っており、中国加盟も問題としてはっきり取上げざるをえない状勢になっています。
以上のべましたように、大会中、中国問題を中心に、イデオロギー上の立場の違いが如実にあらわれる等のこともありましたが、総括討論会の席上で行われた田中副会長の発言は、この大会のしめくくりをつけるにふさわしいものであったといえましょう。
「アジア諸国は、西欧を侵略者として見るのに馴れていたが、大会には欧州一流の生協人が参加し、友情にみちてアジアのためにカをつくしてくれた。その人達の背後には全欧州の民衆がいる。こ
の大会こそアジアと欧州の民衆の心を一つに結ぶ歴史的意義をもっている・・・・・・」これに対して、とくに、アジア諸国の代表からあらしのような拍手がおこりました。(日協連組織教育部長)
以上

以下に補足を入れておきます。
『日本生協連50年史』P86
ICAはローザンヌ大会で「技術援助長期計画」を承認、1960年11月に東南アジア地域事務局と教育センターをニューデリーに開設した。

【2010/05/25 23:59】 | アーカイブ
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