<Mより発信>
『生協運動』1958年1月号に賀川会長の「1958年に寄せる」という文章にあった「アジア協同組合大会」(折りたたみ以下に詳しい)に参加した当時の日協連組織教育部長の勝部欣一氏の報告が2月号に掲載されているので、2回にわけてご紹介します。
当時のICAが主に西ヨーロッパの協同組合によって構成されていたという状況がよくわかる内容です。朝鮮戦争以降、東西の対立が激しくなる中で、協同組合原則で運営されている組織であれば協同していくべきだという賀川豊彦の主張は先進的だったということに瞠目させられます。

【アジア協同組合大会に参加して 勝部 欣一】その1
最大の代表団をおくった日本
(1月)17日朝、羽田を発ち、3日目の昼に、クアラルンプールにつきました。この会議は、ICAアジア会議として、第1回目であり、日本としても、13名という最大の代表国を送るなど、日本の同会議への高い関心を内外に示しました。
会議は、第一日の総会につづき二日日、分科会討論、三日目、総括討論、更にあいだに沢山のレセプションをはさんで少しの余裕もない日程の下に行われましたが、3日間を通じて、特徴的な事柄をあげると、まず第一に、会談の運営方法について多くの不満を残した事です。
全体的に、ICA側に「アジア各国の意見を聞き、各国の運動発展に対しICA側がその見解をのべて質疑をうける」という形式に固執しようとする傾向がみられ、アジアの自主性を生かし、主体的な意見を中心に討議をすすめる事ができませんでした。これは、議事手続についての私共の勉強不足などにも原因しているといえますが、討議の内容について、事務局側から各国の意見を聞き、又きまった結果をあらかじめ通知するという事がなかったのは、その間の事情を単的にあらわしていると思います。それらからみて、(昭和)29年のパリー国際協同組合会議で日本がアジア会議開催を提案した趣旨は、何ら生かされていなかった、といえるでしょう。私は会議の後で議長のボノー氏に、この点に関して卒直に不満の意を述べておきましたが、向うとしては一言の弁解もできませんでした。

賀川会長に全代表が敬意
ICA大会でもそうだったようですが、賀川会長の発言に対しては全代表が、非常な敬意をもって傾聴していました。また日本の農協の尨大な組織は、各国代表の驚嘆のまとになっていたようです。
中国問題については、日本代表団は、つよい主張をもっていましたが、これはICAの全体会議にかけるべき問題として、ついに議題としてとりあげられませんでしたが、これについては次のようないききつがありました。
19日クアラルンプールにつきホテルで休んでいると、ワトキンズICA常務理事が、賀川会長を迎えにきて、賀川会長、田中氏、私を、本部宿舎に案内しました。行ってみると、ブロー会長、ボノー副会長、事務局長ポーレー女史、バルビエ氏、ドライヤー氏など、ICAの最高幹部が待っていて、中国問題に対する日本の態度をききたいというのです。
賀川会長は「政治的信条の如何にかかわらず、現在、中国6億の民衆が存在するという事実を無視するわけにはいきません。その中の多数の人々が合作社を作っているのですから、アジア全体の力で協同組合運動をすすめるためには加盟問題には当然思想をこえてあたるべきです」と、アジア会議に中国を加える必要をつよく打出されました。彼らは、これに対し、別に意見を述べませんでしたが、賀川会長の勧告にかかわらず、中国加盟を承認しようとする動きがその後も一向、ICA幹部の内にみられません。

無視できない〝6億の中国民衆〟後に、総括討論に入った際、ICA代表から「アジア全体を通じて協同組合に対し、政府がスポンサー的な立場に立っている場合が多い。もっと、協同組合運動が独立性をもつべきではないか」とい
う発言があった時、私達は、それに関連して、「それでは何故、中国を加盟させてはならないのか、生協の独立性という面からいうなら、中国の合作社にしても立派に独立性は保持されている。セルフ・コントロールが行われているのである」とのべたところ、ワトキンズ氏等が「中国においては政治のめざす方向が違う。一方は全体主義であり、他方は民主主義的な政治体制であるから」というような発言をします。なおも「生協の精神は、中国にもある。ともかく、合作社の現状を、ICAの人々自身がじかに見て、たしかめる事が必要じゃないか」と喰下ったのですが、確答はありませんでした。
しかし、何といっても、ICA執行部は、日協連の動きに対しては、大きな注意を払っている事でもあり「ICA自身で合作社の現状を確かめる」という点についてはボノー氏(ICA副会長・アジア会議議長)や、ドライヤー氏(中央執行委員)は、日本で会議でもある機会に帰途、中国へ立ちよりたいという希望を洩らしておりました。ひとつの成果として評価することができると思います。

〝ファイア〟こそ必要
第一日の総会の席上で、賀川会長が演説しましたが、その中で、会長は、人類の平和を守るためには、協同組合運動こそ、キー・ポイントになるものである事を強調し、協同組合運動を進めるためには、ファイア(火)こそが必要である、と、結んで全会衆に多大の感銘を与えました。特に、その時の〝Co-operation is Fire〟という言葉は、その後、多くの発言者によって引用され、会議での相言葉になった感がありました。
それらをみても、国際生協運動における、賀川会長のしめる地位の偉大さを、いまさらのように感じさせられ、まことに心強く思われた次第です。

→その2へ続く

【2010/05/25 23:56】 | アーカイブ
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