『生協運動』1957年10月号

<Mより発信>
日協連の機関誌『日協連』が1957年1月号より『生協運動』と改題され、B5版のタテ型になった。冒頭の写真は当時の表紙写真(保存状態のよい1957年10月号を掲載)。毎月の表紙デザインは同じで色だけが変えられている。
『生協運動』1957年6月号(発行は8月)の表紙裏に掲載されている賀川会長の日協連総会における挨拶をご紹介する。

【すすむべき道――会長 賀川 豊彦】
日本の経済は底が浅い。神武景気も僅かの間に過ぎなかった。織維界は昨年五十億円以上の打撃を受け、本年また数十億円の負債に喘いでいる。少し息をついているのは造船界だけである。鉄鋼事業も苦しくなってきた。
この底の浅い日本の経済界を反省しなければ協同組合運動の定向性を決定することはできない。幸いにして、労働組合が漸く消費組合運動の必要性を認め、我らの運動を支持してくれるようになったことは喜ばしいことである。
しかし、協同組合の運動は社会運動の根本問題にふれている。それは、生活に関する協同体の運動である。不幸にして、今日の経済では資本と、労働が相対立しているが、民族の繁栄の為には、いつまでもこの対立は許さる可きものではない。勤労者自身が消費者であることを知れば、勤労者が自ら投資し、企画し、経営する時代が望ましい。その方向に向って進む為には、長期金融の方策を案出し、勤労階級が、生命保険を協同組合の組織によつて経営し、その積立金を勤労階級の衣食住の生産資金として廻さねばならない。
労働階級の住宅資金、協同仕入の資金、勤労階級の被服買入資金をこの種の長期資金より融通し資本家よりの借入金によらないようにしなければならない。
日本の農民層も漸くこの方面に目醒め、最近生命共済、建物共済の契約を来る可き3年間に8億円にふやし、積立金を1000億円に増加し、それによって、貧農階級の営農資金に廻したいと云うことが考えられるに到った。
それに比較すると、労働階級の冒醒めは立ち遅れたかの感を与える。目的は資本主義を脱却して社会主義社会を確保することにある。それを暴力革命によらず、社会秩序の発明、発見によって完遂しようと思えば、協同体社会組織運動を押し進める外はない。資本家は悪賢こいから、勤労者が、かける団体保険の金を利用して、工場を経営している。そして労働者はストライキせねばならない。
労働者の掛金は、労働者が集め、知識階級と協同して、資本主義を一日も早く脱却する方策を常に研究せねばならぬ。
消費組合運動はその第一歩であっても、我らは更に、住宅組合運動に、生命保険組合運動に、そして、生産組合運動に成長せねばならない。
悪賢こい資本家主義は、あらゆる奸策を以ってわれらの協同体運動をぶち潰そうとねらっている。彼らは「自由主義」の名にかくれて、ぼろ儲けを企てようとしている。しまいには、戦争業者と結托して、日本の平和憲法を改悪しも一度(ママ)、徴兵制度、軍需工場、軍需品貿易まで計画し、人類を破壊に導かんとしている。我らは、飽迄これらの「闇の力」と戦ひ、全勤労者階級解放の為に、勇敢なる闘争を継続せねばならぬ。(日協連総会挨拶)
以上

(Mによる追記)
賀川豊彦はキリスト教社会主義者であることがよくわかる。暴力革命によらず、資本主義を脱却して社会主義社会を確保することをめざしていることを明言している。そのためには協同体社会組織運動を推進することが大事で、それに必要な金融方策として長期共済を考えていたことがわかる。
「労働階級」「勤労階級」「知識階級」という用語使いも独特。1958年の年頭の辞には「庶民階級」という用語も使われ、のちの「階層」概念につながっていくように思える。
Wikipediaの「社会階層」の項もご紹介しておく。

【2010/05/19 00:02】 | アーカイブ
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