1954「ICAパリ大会代表派遣リーフレット」

<Mより発信>
1954年の資料の中に『国際協同組合同盟パリー大会に代表を送ろう』というリーフレットがあり、賀川会長の「田中俊介氏をパリー大会に送る」、田中副会長の「私は世界の同志に二つのことを訴える」、「世界の生活協同組合」という文章が掲載されている。3月1日のビキニ環礁での米国による水爆実験で日本の「第五福竜丸」の乗組員が被爆した年であり、当時の状況や日本の生協の問題意識がよくわかるのでご紹介したい。

【田中俊介氏をパリー大会に送る】会長 賀川豊彦
来る9月、パリーで開かる国際協同組合同盟の世界大会に日本の代表を送ることは非常に有意義なことだと私は思う。
先づ第一に世界の協同組合との交流を深めることである。戦後日本の生活協同組合は非常に貧乏し、苦労をしてきた。しかしこの際われわれは世界各国にわれわれと同じ理想と夢を持ち、しかも立派にやっている同志がたくさんいることを知らなければならない。そしてその経験や技術をとり入れ、一日も早く日本の運動を世界の水準に迄高めなければならない。
次ぎは協同組合による世界各国との自由な貿易を早くやりたいということである。ヨーロッパでは戦後再び協同組合貿易が盛んに行われ、それがそれぞれの国の復興に大きな役割を果たしている。われわれももっと大きく眼を開く必要がある。
最後に私は協同組合運動こそ世界平和の基盤だと思っている。従ってパリーの大会でわれわれの代表にそのことを訴えて貰いたいと思っている。原子力の問題は必ず議論になるであろう。この問題については正しく日本人の体験を世界の人類に伝える責任があると思う。
以上のような理由で私はパリー大会に重要な意義を感じ、日本協同組合連合会(ママ)副会長田中俊介氏を送ることに大きな期待を持っている。また田中氏こそ30数年ただこの運動のために一身を捧げて来た人であり、われわれの代表として最もふさわしい人である。
 
【私は世界の同志に二つのことを訴える】日協連副会長 田中俊介
今回全国の皆さんの御推薦でパリーの国際協同組合同盟の大会に私が日本代表として出席することになったことは、私にとって無上の光栄であり、深く感激しています。三十数年間ただ生活協同組合運動のことだけを考えて過して来た私には今度のこと程感銘を与えたものはありません。殊に全国の同志の皆さんが心からの浄財を拠出してこの私を送って下さるということを聞いた時には、本当に瞼があつくなって来ました。いまは専ら賀川会長を始め皆さんの御期待にどうして添おうか、果たして添うことが出来るかどうかということで胸が一杯です。
しかし私は自分のこの背後に多くの皆さんがついていて下さるということを考えると奮るいたたざるを得ません。どんな困難があっても菲才に鞭打って頑張って来ようと決心しました。日本生活協同組合連合会の第四回総会で皆さんから負託された二つの課題即ち1.水爆実験の禁止、並びに原子兵器の破棄 2.協同組合による世界各国との自由な貿易殊にアジア諸国との自由な自主貿易の締結については全力をあげて世界の同志に日本の現状を訴えたいと思っています。つたない語学でも至情は必ず通ずると私は確信しています。
更に私はこの機会に日本と各国との交流を深めると共に直接ロッチデールの組合をはじめ多くの組合を訪れ、先輩の苦心や経験を勉強して来たい、そしてわれわれの運動を一日も早く国際的水準にたかめ、日本人の生活の向上と平和のために全生涯を捧げたいと決心しています。

【世界の生活協同組合】
いまから111年前、ロッチデールの労働者が、当時の苦しい自分達の生活を守るために、それぞれ1ポンドづつ出し合って生まれた組合は、その後、非常ないきおいで発展しました。とくに英国、スエーデンで著しく伸びています。現在、世界中で42000の生活協同組合が活動していますし、組合員数は6000万人と云はれています。それは世界人口の4.71%に当ります。
日本では大正時代から労働者や都市勤労者の手によって作られて来ました。戦後は昭和23年10月に生活協同組合法が出来てから、組合は総てこの法律によって作られていますが、現在、全国で1426組合が消費者の生活を守って活動しています。その中で、地域組合が1048組合、職域組合が378組合あります。組合は日々の生活物資の供給から浴場、理髪、診療所、託児所などを経営しています。そればかりでなく、最近では内職の世話や火災共済もやっています。
これら沢山の組合は組合員の苦しい生活を守ると云う共同の利益に立って、いつでもお互いに手を結んで活動しています。日本では日本生協連にまとまっています。世界でも、協同組合運動の中には友達こそ多くあり、イギリス、フランス、アメリカ、スエーデン、ソ連、ドイツなど34カ国、66の連合体が参加して国際協同組合同盟が作られています。国際協同組合同盟は3年に一度世界各国の代表が集まって大会を開きます。今年はその大会が9月6日から9日まで4日間パリで開かれ、日本からはじめて代表が参加します。
5月1日がメーデーであるように、7月第一土曜日は国際協同組合デーで協同組合の記念日であります。この日に国際協同組合同盟は世界平和の呼びかけをすると共に各国の協同組合が日を同じくしいろいろの催しでデーを迎え、平和の決意をあらたにします。今年のデーは日本では18回目に当ります。
リーフレットは以上

その後の『日協連特報』7/29号より
【田中代表渡航の外貨割当許可さる!―全国の同志よ、カンパに一段の奮起を望む―】
ICA総会へ是非とも最初の代表を派遣したいという6月16日の日協連総会に結集された全国同志の熱意は、その後の運動によって全国的に大募金運動となり、その力はまた最も困難視されていた現下の外貨事情をも揺り動かして、ついに7月26日の外貨割当委員会は、田中代表の渡航計画を無修正で承認し、それに必要な外貨(邦貨にして約100万円)の割当を許可するに至った。(以下、省略)

【2010/05/11 00:13】 | アーカイブ
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 


トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック