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<Mより発信>
 2016年度の「日本生協連資料室 土曜講座」については、こちらでもご紹介させていただきました。10/22の第2回に参加してきましたので、以下、概要をご報告します。

テーマ:「奥むめおに学ぶ
 ~戦前・戦後の生協の女性リーダーとして~」
講師:広岡守穂さん/中央大学法学部教授、
   (一財)主婦会館評議員


講義内容の概要
 広岡先生のレジュメのタイトルは「奥むめお・・・社会システムをつくった人」。参考文献の奥むめおの章のタイトルも「社会システムをつくる-働く女性のために」。政治学を学んできて、恩師だった篠原一(はじめ)は現代民主主義論の中でも意思決定の場への参加を最重視して参加民主主義が大事という立場をとったが、自分はそれだけでなく意思決定の場をつくること、そのための社会システムを下からつくる動きが大事だと考えるようになった。
Ⅰ.社会システムをつくるデモクラシー(視点その1):3つのデモクラシー●政治的デモクラシー:多数者の意思・少数者の権利=ここは従来取り組まれてきた。●社会的デモクラシー①社会システムをつくるデモクラシー:明治期に渋沢栄一が官業だけではダメで民間の力が大事と株式会社を作ったように、大正時代以降、賀川豊彦、奥むめおの功績は大きい。運動だけでなく多くの事業を立ち上げて社会的なシステムをつくることが大事だった。●社会的デモクラシー②声を出せない人のためのデモクラシー:声を出せる人だけで決めていくのでは不十分。子どもや障害者、LGBTなど少数者で声を出せない出しづらい人たちも視野に入れた活動をつくる必要がある。
Ⅱ.女性解放の思想と運動のなかでの位置づけ(視点その2):●羽仁もと子(1873~1957)、●与謝野晶子(1878~1942)、●平塚らいてう(1886~1971)、●山川菊栄(1890~1980)、●高群逸枝(1894~1964)、●奥むめお(1895~1997)、と奥むめおは年長の5人の論点をきれいに押さえて実践をしていった。・母性保護論争 ・ケイパビリティ ・人口妊娠中絶 ・性別役割分業の論点にもふれた。
Ⅲ.市民社会をつくる実践と思想(視点その3):●市民社会の政治的意味、●市民社会の経済的意味、●市民社会の社会文化的意味、●アナーキズム再評価の機運・・・このⅢは時間がないと勘違いをされて省略。「アナーキズム」は「無政府主義」と訳されるが、秩序を否定する思想ではなく、自由を重視する思想として近年再評価の気運が高まっているという(面白そう)。
Ⅳ.奥むめおの評価と位置づけについて:奥むめおは大変な「人たらし」でいろいろな人を支援者にした。もっと評価がされてよく、きちんとした評伝が出ていて然るべきだった。自分が主婦会館の評議員になって研究会を始めたがまだ3人の方からしかお話を聞けていない。今回の後半に期待したいと締めくくられた。

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 参加者は講師を含めて23名で、日生協・コープ共済連職員6名、医療福祉生協連1名、同OB1名、生協総研3名、会員生協1名、松沢資料館関係2名、研究者2名、主婦連・主婦会館5名、その他1名。 
 ディスカッションでは、まず資料室にある史資料から奥むめおの戦前・戦後の消費組合・生協での「婦人活動」(注)が主婦連の活動の原点だったことを明らかにした。丸浜江里子さん、清水鳩子さん等の発言からも奥むめおの多彩な活躍が浮かび上がってきた。奥むめおは、女性でも一人ひとりがしっかりと主体的に生きていけるように少数の女性リーダーが活躍することよりも、より女性の多数派を組織してみんなで勉強したり楽しんだりしながら活動の輪を広げていくことを追求し続けたのではないか。奥むめおの実践からの学びを深める必要がありそうだ。そのことが参加者に共有できたと思う。
 
注記:昔は世帯主(戦前は戸主)が消費組合・生協の組合員になっていて、実際に利用している主婦を組織して活動参加する場としては婦人部や家庭会が作られた。1960年代後半から主婦が組合員になって全国的に再建・設立された「市民生協(県民生協)」以前は「組合員活動」ではなく、「婦人活動」と呼ばれていた。1957年結成の「日生協婦人部全国協議会」が活動を広め、班を基礎組織として確立していく中で「日生協婦人活動全国協議会」と改称し、1977年には協議会を発展的に解散させ、日本生協連に「全国組織活動委員会」を設置して全国の生協の組織活動を協議、推進していくことになった(その後、「全国組合員活動委員会」と改称されている)。

2016/10/8「日本生協連資料室土曜講座」第1回「柳田国男の消費組合(生協)論に学ぶ」参加報告はこちら

【2016/10/27 12:56】 | 情報
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