20160330藤田孝典氏講演会(1)80%縮小

<Mより発信>
 第3回例会は、昨年発刊されベストセラーとなった『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』 (朝日新書)の著者であり、埼玉県内で生活困窮者支援に取組む、新聞や様々なメディアでも積極的に発言されている藤田孝典さんにご講演いただきました。子どもの貧困とともに高齢者の貧困も深刻化しており、今回の学習会では、その深刻な実態と要因、高齢者の貧困問題への対処のあり方についてパワーポイントによって豊富なデータとともにわかりやすく報告・解説いただきました。
 話題の講師の企画に小2会議室しか確保できませんでしたが机と椅子を補充して35名の参加者(労組員13名、非労組員22名)で会場がいっぱいになりました。絶妙なタイミングで何度も「暗い話ですが大丈夫ですか」と語りかける講師に「大丈夫です」としっかり答えるやりとりもあり、笑いをとられながらも真剣に聞き入っていました。生協の労働組合でも最低賃金の引上げ、派遣法改悪反対など安倍政権の生活破壊からくらしを守る課題に取り組んでおり、力が湧く企画となったと思われます。
冒頭の写真は、講演をされる藤田さん。

【2015年度第3回例会(2016年3/30)のご報告】
1.テーマ:「高齢社会に備える
  -下流老人にならないために」
  
2.藤田 孝典 氏
  (特定非営利法人ほっとプラス代表理事、
   聖学院大学客員准教授)

3.講演概要
 「下流老人」とは生活保護水準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者をさす藤田さんの造語で、2015年度の流行語大賞にノミネートされた。65歳以上の高齢者の貧困率はアメリカ、韓国に次いで日本が高く、貧困層だけでなく誰でもアクシデントが重なるだけで高齢期は下流老人化する可能性がある。
 下流老人がらみで最近話題になった事件として3つのうち、2015年6/30の東海道新幹線火災事件で焼身自殺をはかった高齢男性は、35年間町工場勤務をしてもらえる年金が12万5千円で、毎月家賃4万と医療費2万がかかり、苦しいときは友人と貸し借りしていてしのいでおり、手元に数万円しかない時点で事件を起こした。『下流老人』が6/15発売で関連して多くとりあげられたとのこと。5万部売れた時点で厚労省が聞きにきて、10万部の時点で財務省が聞きにきて、高齢者に3万円ばらまくという政策につながったように思える。15万部の時点では与野党が聞きにくるようになった。本のタイトルに『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』とつけたのが政権の「一億総活躍社会」に使われたような気がして、登録をしておくべきだった。(会場どっと湧く)
藤田孝典著『下流老人』表紙70%縮小.jpg

 もう1つ話題になった事件として、今年の1/15の軽井沢スキーバス転落事故事件を上げており、65歳の高齢男性運転手が生活苦から苦手な大型バスを運転して死者15名を出したが、死後の遺体の引き取り手もなかったくらい孤立していた。年金が足りないために高齢者が働くのは3K職場が多いということやそういう企業が提供する安いサービスは安全性をないがしろにすることと表裏である問題があること、高齢者が働けるようにすることとともに労働環境の改善の必要性があると指摘。

 下流老人の特長は3つの「ない」で、①収入が少ない、②貯蓄が少ない、③頼れる人がいない。①収入が少ないについては、所得階層論もやっているが、所得の平均値は意味がなく、中央値は700万円でそれ以下4割は下層、上層は2割。それなのに国民の9割がぼんやりと中流意識を持たされていて、下層4割がとるべき行動をとっていないことが大きな問題。この誤った自己認識の問題状況を変えたくて『下流老人』を出した。非正規雇用なのに周囲もそうだと自分も中流と思ってしまっている。「下流老人」という言葉を作ったのも注目をさせるためで、目論見があたった。

 マクロ経済スライドの発動により年金受給額は下げられ続け、20年後には30%下げる目標ですすんでいる。現在も2人世帯で10~20万円に集中しており、一人欠けて病気などになると容易に生活は単に陥る。また今低いと将来はもっと低くなるので、世代間の利害対立という論で分断されているが、非正規雇用は下流老人に直結することから若者の老後が危ない。社会保険料だけでなく税でのテコ入れをしないともたない。3月には若者の貧困問題についても『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社現代新書)という本を出した。「貧困世代」(プア・ジェネレーション)という言葉も話題になるようにつけている。
藤田孝典著『貧困世代』表紙80%縮小

 富の再配分問題を是正していく(所得の中層からの所得税や法人税などとれるところからとる)ために財政学者とも提携をしていく。下流老人を増やさないためには、本人が自虐的な貧困観から脱け出して「受援力」をつけること、支援者もソーシャルアクションを続けることで社会を変えていくことの必要性を強調された。生協も大きな力をもっているので期待しているとのことで、日本生協連の現在の税と社会保障についての政策も大きく見直すべき時がきていると思った。

★なお、藤田孝典さん氏には、3月19日に大阪で開催された日本生協連「生活相談・貸付事業普及研究会報告会」でもご講演いただいています。協同組合塾でもほぼ同じテーマでの講演をお願いしていました。第2回の2/10(水)協同組合塾定例会での企画が生協総合研究所の協同組合法制度研究会での企画と期せずして同様の内容になっていたことと似たような事態になりました。その日の藤田さんのfacebookの記事で「引き続き、日本生協連の皆さんと社会福祉や社会保障の充実を目指して問題を共有していきたいと思います。大きな組織が本気になれば、日本の貧困問題に打撃を与えることが出来ると信じています。」とあり、これは関西での企画と同様に思われたのではないかと思われて、幹事として冷や汗ものでしたが、当日の参加者は日本生協連の労組員だけでなく、会員生協の役員、元役員もいらしたので、当たらずしも遠からずでまぁいいかと思うことにします。
 
下の写真は学習会の全体の様子。
20160330藤田孝典氏講演会(2)80%縮小

(追記)
Facebookへの連動のボタンや拍手ボタンが追加できることがわかり、この記事作成の際に設定してみました。皆様、ご活用をお願いいたしますm(_ _)m

【2016/05/19 23:59】 | 主催企画報告
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