『日協連』1955年1月号

<Mより発信>
今現在、5年ごとのNPT(核拡散防止条約)再検討会議がニューヨークで開催され、日本全国の生協から代表団が派遣されて諸行動に参加している。それに関連して、以下の情報をご紹介することにしたい。

1954年3月1日、ビキニ環礁での米国による水爆実験で日本のマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員が被爆した翌年。いわゆる「55年体制」を生み出した政治状況の中で、日協連の賀川会長が衆議院選挙に際して全国の生協職員向けのアピールを発した。その後、日協連理事会は選挙に対する基本方針や推薦候補者を決定。関東と関西に選挙対策特別委員会も設けて活動に取り組んだ。それらは機関誌『日協連』(『生協運動』の前身)1955年1/25号に掲載されている。

「英国のように労働党を育てるような運動をするのか否かを明らかにする段階ではないだろうか」という議論もあったという資料もあるが、そういう方向にはなっていかなかった。そのもう少し後の時代の欧米の生協訪問の際、イギリスの労働党との関わり方の実際にふれ、日本との違いに言及した記事も『生協運動』誌上にみうけられる。
日本の生協の場合、農協などと違って組織代表の議員を組織決定して国会に送り込むという活動をしてこなかった源流がここにあるように思われる。

【全国の同志に訴える――衆議院選挙に際して――日協連会長 賀川 豊彦】
日本がもう一度軍国主義の鉄鎖につながれるのか、世界平和の指導権をとるのか。
昭和三十年春の総選挙は、日本歴史の上からみても最大危機に直面しているのだ。小さい強権主義をはなれ、平和憲法を守り、協同体の世界連邦をつくるためには、日常斗争としては協同組合の実践に生きねばならない。
生活の協同体なくして、国際的協同体はあり得ない。搾取なき世界的協同組合貿易なくして、世界平和はあり得ない。
総選挙は流血なき平和革命である。無産者を解放せんとするものは、協同体のために戦う同志を国会に送れ! 私利私慾に迷い、団体利己心のためには全大衆を金権に売渡す亡者達に投票を渡すな。
理想なき国家は亡びる。正義と平和のためにわれらの政治を守れ! デフレの悲劇に失業と生活不安を救うものは、世界協同組合運動の民衆化の外にない。判断を誤るな! 社会の進化は協同体運動の前進に外ならないのだ。この意味をよく意識して清き一票を使用せよ。

【生協前進の好機――選挙対策基本方針きまる――】
保守、革新の対決の秋と云われ、さらには平和憲法を守るか、再軍備を含む憲法改正を認めるか、この戦後最大の問題をわれわれ国民が決定する総選挙を迎えて、さる1月24日開かれた日協連第五回理事会は、平和とよりよい生活を築こうとする立場から、積極的に選挙活動を行うべく、次のような基本方針を決定した。

<スローガン>
われわれは左(↓)のことに、誠意をもつて応えその実現のために努力する候補者、政党を支持する。
〇生活協同組合の育成の為に、五十億円を融資すること。
〇物価を引下げ、失業のない豊かな生活を約束すること。
○再軍備や、家族制の復活に反対し、明るい社会をつくること。
○汚職や、疑獄のない正しい政治のあり方に努力すること。
〇どこの国とも平和共存 中ソとの国交を回復すること。
○原水爆兵器の実験に反対し、国民の幸福を守ること。

〔選挙対策特別委員会を設置〕
総選挙及び地方選挙について、各地方の事情に応じて効果的に活動を組織するために、関東、関西に選挙対策特別委員会を設置して、具附的な活動を全国的統一の下に行うことになつた。
各委員会の顔ぶれは次のとおりである。(名簿は省略)

〔選挙に対する基本的態度〕
生活協同組合としては、平和を守り、国民生活の安定を促進するために、生協運動の役割の重要さを組合の内外に徹底し、生協運動を飛躍的に発展させるために、今回の総選挙にこれまでよりもより積極的に活動することが大切である。
総選挙こそは組合の意見を最も効果的に、最も集中的に、政治に反映させる絶好の機会であるからである。
生協の選挙活動は、それぞれの生協が持っている各種の問題(その集約されたものが日協連の選挙スローガン)を、それぞれの具体的な実情に応じて、組合の内外に徹底し組合員の自覚を高め、選挙に当って候補者、政党に対する正しい判断を作ってゆくことである。このような活動に主力が置かれず、特定の候補者、政党の支持にのみ走ることは、組合の選挙活動としては正しいものではない。
生協にはいろいろな意見や理想をもった人が集っているので、そのような現状を無視して、特定の候補者、政党の支持を決め、組合員にその支持を強制することは生協の組織を乱す結果を招くから避けなければならない。
生協の役員、関係者のうちからの候補者を、生協として推薦する場合でさえも、推薦した候補者が、生協の掲げたスローガンの実現のため忠実に努力する人であることを理解させることに生協として努力しなければならないが、その場合でも支持を強制してはならない。生協としてはあくまで組合員がいづれの候補者、いづれの政党を支持するも自由であると云う大衆組織としての原則を守り、何れに投票するかは、各組合員個人にまたなければならない。
以上が生活協同組合の選挙活動を統一的にもり上げるため、日協連理事会が決定した基本方針であるが、従来、生協運動はどう闘ってきたろうか。
〔国会の中での生協〕部分を省略

〔推薦候補者決まる〕
日協連として推薦する立候補者については、地方の事情について、推薦を求め、選対委で決するが、理事会として従来国会における良き協力者である次の四氏をまづ推薦侯補者と決定した。
杉山元次郎:日本社会党(右派) 前大阪第四区
平岡忠次郎:日本社会党(右派) 前埼玉第二区 高階村生協顧問
長谷川 保:日本社会党(左派) 前静岡第三区
飛鳥田一雄:日本社会党(左派) 前神奈川第一区 横浜新生協理事長
以上

冒頭の写真は、ご紹介した記事を掲載した『日協連』1955年1/25号の表紙。『生協運動』誌(2003年度からは改題して『CO・OP NAVI』に)の前身なので並んで合本コーナーに収納されている。

【2010/05/09 23:58】 | アーカイブ
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