20141129賀川記念講演会での浜矩子さん15%縮小
<Mより発信>
10/18付けで「第35回賀川豊彦記念講演会」の紹介記事をアップしておいたが、参加して浜矩子さんのご講演を聞いてきたので報告させていただく。なお、昨年9/1の『ビッグ・イシュー』10周年企画で浜矩子さんが対談されたトークイベント参加報告記事もアップしてあるので、あわせてご参照いただきたい。

日時:11月29日(土)15:00~17:00
場所:明治学院大学白金校舎 2号館3階2401教室

講師:浜 矩子(はま・のりこ)氏
(同志社大学大学院ビジネス研究科教授、エコノミスト)

テーマ:「経済活動は人間の営み~我欲の論理を超えて~」

ご講演の概要
私は安倍政権の経済政策を「アホノミクス」と呼んでいるが、これは経済活動というものの本来のあり方と全くピントをはずれたところで邁進している。なぜこんなに自分の警戒心を刺激するのだろうかと考えているうちに次第によくわかってきた。最大の問題点は人間の姿がみじんも見られない、人間不在の政策パッケージであるということ。気持ちの悪さはそこに発している。
なぜ「人間不在」の政策姿勢になるのか。それは「富国強兵路線」のためであり、さらに明治の時の発想は「富国」のための「強兵」だったが、安倍政権は「強兵」のための「富国」であるのがより性質が悪く、強兵体制を裏付けるための経済政策をとっている。そして、その原因はグローバルに流行している「取り戻したがり病」。チームアホノミクスだけでなくプーチンなどもかかっている。
「日本を取り戻す」というのが安倍政権の主要スローガンになっている。今年の総理大臣年頭所感(1700文字程度)では「取り戻す」が3回出てきた。①強い日本=「強兵」にあたる。②強い経済=「富国」にあたる。③誇りある日本。
6月末の閣議決定の政策文書「日本再興戦略2014年版」には別のキーワードでも登場した。「日本の稼ぐ力を取り戻す」というか「取り戻せ」というニュアンス。チームアホノミクスは国民と国家の関係を逆転させ、近代国民国家の民主主義的位置づけを壊そうとしている。国家が国民に奉仕することが国民が税金を払って国家を維持するための条件なのに、国家に対して国民が奉仕するように逆転させている。「人間」という言葉は登場ゼロで「国民一人一人は」という表現が多く登場し、「総員奮励努力せよ」というイメージが浮かび上がる。強い国家を取り戻すため、国民が日本の稼ぐ力を取り戻せと言っている。
目玉にしている「地方創世」では、観光立国をめざせ、地方はみんなテーマパークになれと言っていて、そのために政府がお役に立とうということはない。
「女性活躍」も日本経済の成長のために未利用だった女性の力を活かすということで、人権、差別をなくすということは書かれていない。輝くという名の下にこき使うという政策で、これでは「女性輝きブラックランド」になってしまう。

「取り戻したがり病」に憑りつかれた人々は「人間」に目がいかない。いま焦点になっている「豊かさの中の貧困」の解消は、まさに賀川さんが取り組まれたテーマだ。日本は貧困率(年収120万円未満)が16.1%となり、先進国の中で第4位になってしまった(①アメリカ、②メキシコ、③トルコ、④日本)。子どもの貧困率も同じように高い。世界に冠たる先進国に不釣り合いな「貧困問題」「女性の地位の低さ」という状況がある。日本はかつては経済的格差が大きくない社会であったが、いつの間にかここまで格差が拡大してしまった。
今の日本はまるで「壊れたホットプレート」の状態。ムラなく行き渡るのが勘所なのに、部分的に熱が高い箇所と、低い箇所ができる、ムラやバラツキができる欠陥がある。株式投資などで潤うホットスポットがあり、コールドスポットは、非正規労働者、ワーキングプア、構造的貧困層などで「豊かさの中の貧困」で痛めつけられている。グローバル競争の中で生き残るために、人間を選別し、はじきとばされてコールドスポットへ落ちる人が大勢いる。
アホノミクスは意図的にコールドスポットを無視し、ホットスポットをあおる。「富国強兵」に役立つよう強いものをより強く、大きなものをより大きくしようとする。「円安」誘導も「株高」もホットスポットをあおるだけで貧困の解決にはならない。ホットスポットをあおって起きる問題の解決の手段は持っていない。まるで魔法使いの弟子が魔法をかける時のおまじないは知っているが魔法をとく時のおまじないを知らないという状態だ。

そもそも経済活動とは、人間の人間による人間のための人間だけの営みであり、人間を不幸にするものではない。経済活動の本質はあくまでも人間が幸せになるためのものであるべきという観点に立っている。経済効率を追求すると「人間」はひっこんでしまう。「ブラック企業」という言い方が広まっているが、「ブラックな行動」と言うべきで、ブラックな奴は「企業とは認知しない」という意気込みが必要だ。
孔子の『論語』の中に「心の欲する所に従えども矩(のり)を踰えず(こえず)」という言葉がある(のりは矩子の「矩」)。我欲を追求しながらも人様を傷つけることはしないという絶妙なバランスこそ経済活動のあかしである。この「悟りの世界」は聖書の世界にも通じている。(浜さんはカトリック信者とのこと)
『新約聖書』の「コリント人への第一の手紙」に、「われわれは子どもじみたふるまいと決別のときが来た」との言葉があり、コリント人=ギリシャ人でキリスト教に改宗した人々に向けられたもの。大人が子どもと違うのは、人の痛みがわかる精神性があること。「矩」を越えないのは人の痛みがわかる人である。ところが、子どもじみたふるまいと決別できない人々の政策は、幼児的凶暴性をもっている。そのことから今回の「ヒステリー解散」ともいうべき暴挙に出ていると思う。
このような子どもじみたふるまいをする人々と決別しなければ、孔子の悟りの境地に至ることはできない。

いただいた70分でお話したので質疑応答に入りましょう。
(以下に質疑応答からの一部をご紹介)
(質疑応答)男性3人、女性3人が質問し、答えられた。そのうち、興味深かった内容を以下にご紹介。

Q(女性):人間が社会を営むのに必要な「社会性」を育む教育が日本にはないが、どうしたらよいか。
A(浜さん):私は質問なくして授業なしというやり方にしている。進歩の原動力は疑問に思ったことを解明していくことによる。人の言っていることを鵜呑みにせず、的確な質問を発することで知的覚醒度が高くなる。とぎすまされた感受性を持った人間を育てるためのマインドセットは質問を発することだ。

Q(女性):先の質疑応答の中で、現在では「分かち合い」がうまく具体化できている国はないが、条件があるのは人口の規模が大きくて富のスケールも大きい日本だとおっしゃったので驚いている。日本の国民は選挙の投票率も低く、難しい選択を避けてしまう人が多い。そういう話も周囲とはしにくい「空気」がある。そこをどうしていったらよいかをお聞きしたい。
A(浜さん):社会をよくするための「陰謀」を考えるチームをたくさんつくることだ。「陰謀」を考えるのは楽しいものだ。ここにいる皆さんも「陰謀チーム」をつくって楽しい陰謀を企んでいきましょう。
※2つめの質問はMによるものでしたm(_ _)m
なお、会場にて浜さんの近著『地球経済のまわり方』(ちくまプリマー新書)の販売があり、さっそく買ってきて読んでいる。「風が吹けば桶屋が儲かる。カラクリに気づけば、経済は面白い! 古今東西の物語をまくらに、経済の根本原理と地球経済の今を描き出す」と帯にもあるが、読みだしたら面白くて電車を1駅乗り過ごした。皆様にもおすすめしたい。


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(質疑応答)男性3人、女性3人が質問し、答えられた。そのうち、興味深かった内容を以下にご紹介。

Q(女性):人間が社会を営むのに必要な「社会性」を育む教育が日本にはないが、どうしたらよいか。
A(浜さん):私は質問なくして授業なしというやり方にしている。進歩の原動力は疑問に思ったことを解明していくことによる。人の言っていることを鵜呑みにせず、的確な質問を発することで知的覚醒度が高くなる。とぎすまされた感受性を持った人間を育てるためのマインドセットは質問を発することだ。

Q(女性):先の質疑応答の中で、現在では「分かち合い」がうまく具体化できている国はないが、条件があるのは人口の規模が大きくて富のスケールも大きい日本だとおっしゃったので驚いている。日本の国民は選挙の投票率も低く、難しい選択を避けてしまう人が多い。そういう話も周囲とはしにくい「空気」がある。そこをどうしていったらよいかをお聞きしたい。
A(浜さん):社会をよくするための「陰謀」を考えるチームをたくさんつくることだ。「陰謀」を考えるのは楽しいものだ。ここにいる皆さんも「陰謀チーム」をつくって楽しい陰謀を企んでいきましょう。
※2つめの質問はMによるものでしたm(_ _)m
なお、会場にて浜さんの近著『地球経済のまわり方』(ちくまプリマー新書)の販売があり、さっそく買ってきて読んでいる。「風が吹けば桶屋が儲かる。カラクリに気づけば、経済は面白い! 古今東西の物語をまくらに、経済の根本原理と地球経済の今を描き出す」と帯にもあるが、読みだしたら面白くて電車を1駅乗り過ごした。皆様にもおすすめしたい。

【2014/11/30 23:47】 | 情報
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