賀川豊彦1935東京学消10周年の揮毫複製60%縮小.jpg

<Mより発信>
 東京学生消費組合の十周年に際して賀川豊彦が送った揮毫「未来は我等のものな里」については、このブログにK代表が一文を寄せている(その記事はこちら)。
 そのレプリカ(複製)の額が資料室に2点集まり、1点を賀川豊彦記念松沢資料館でお役に立てていただくことになった。冒頭の写真はそのレプリカ。

 生協運動久友会の秋のつどいの際、日本生協連資料室に立ち寄られた高橋晴雄氏にそのお話をしたところ、その揮毫の寄贈を受けた経過について氏の編著『発想の転換 生協-暮らし・仕事・コミュニティ』の巻末(P258~)に書かれていると教えていただいた。
せっかくなので、以下、その部分をご紹介させていただく。

【未来は我等のものな里】
 1935年、協同組合の先駆者の一人である賀川豊彦は、やがて解散に追い込まれる学生消費組合(注)の十周年に際して「未来は我等のものな里」という色紙をおくり、次代への確信を表明していました。戦争にひた走る時代、世相の中で、氏はいかなる展望をもって、そういう断言をしえたのでしょうか。「涙の二等分」(スラム街の貧困の中で死にたえた幼児をかかえながら、あふれる自分の涙を、その子の頬に分けて二等分したという)の作者である氏は、人間は涙の分かち合える利他的相互存在だということを早くから洞察していました。人間を傷める体制がそう長くは続かないことを見通していたに違いありません。
 その後65年をへて、当時よりはるかにめぐまれているかにみえる今日にあって、私たちは「未来は我等のものな里」と断言できるでしょうか。
 「未来はそれほど近い将来には招来しがたいことを認識した上で、なおかつその未来は必ずや我等のものであるという不動の立場を固めることが、地道な不屈の努力を生むのである」と読みとった福武直(故人、東大名誉教授、元全国大学生協連会長)の言葉を、生活と仕事の底辺(じつは先端) で小さな営みに前向きに明るく取り組む人たちの営みと重ねあわせたとき、やはり「未来は我等のものな里」といえましょう。

 注‥明治大、法政大、早大、東大などで展開した東京学生消費組合。その専務理事だった山岸晃氏が言論抑圧からの没収をまぬかれるため縁の下に隠し、そのために戦災での焼失をまぬかれたという。戦後全国大学生協連合会に寄贈された。手渡しをうける際に私の手はふるえた。日本生協連会館ロビーに建立された賀川豊彦像にそのコピーが刻まれている。

賀川豊彦1935東京学消10周年の揮毫直筆15%縮小.jpg

 上の写真が大学生協連にある実物の額の写真(大学生協連史料編纂室の大久保氏提供)。茶色のしみは土中に埋められたためのものかもしれないと思うと胸がいっぱいになる。
高橋晴雄氏が大学生協専務理事だった頃、大学生協の大先輩のお話を聞く機会を連続してもたれ、そういう交流の中で山岸晃氏が大学生協連に保管の継承を依頼された。そしてまず、福武直会長理事(当時)に経過を説明され、大学生協連設立の生活問題研究所の研究誌『生活と生協』No.59(1979年5月号)の巻頭言として書いていただき、その後、レプリカをつくって全国の大学生協連に送った(その実務は後継の岡安喜三郎専務が継承された)とのことだった。
渋谷のコーププラザ1階ロビーにある賀川豊彦の乾漆像の台座にある文字がここからとられたというのは私も初めて知った次第。賀川像の傍にそのような説明をパネルにして取り付けるなどをして、大学生協を超えてもっと多くの方に知っていただきたいと思い、今回記事にさせていただいた。コーププラザロビーにある賀川豊彦の胸像は、2010年3/12の賀川豊彦研究会定例会・懇親会後に講師の福田繁さんを囲んで撮影した写真を参照してください。
以下の写真は台座の銘文のアップ。
20100312コーププラザロビー賀川豊彦像台座の銘文70%縮小.jpg

松沢資料館の学芸員の杉浦氏からいろいろと情報をいただくので、レプリカではあるがご活用いただけないかとお願いしてみたところ、アーカイブとしては実物でなくてもきちんと収集したいということでご快諾いただいた。(この揮毫も正確には「未来ハ我等のものな里」と書かれており、カタカナを混ぜたり、里というような当て字を使うことも賀川の揮毫ではよくあったことということも杉浦氏から教えていただいた。)
おりしも松沢資料館では国際協同組合年認定事業ということで、「特別展 賀川豊彦と協同組合運動」を開催中とのことである(2012年10月16日~12月26日)。多くの方に足を運んでいただきたい。
日本生協連のHPにある「特別展 賀川豊彦と協同組合運動」のお知らせはこちら

以上

【2012/11/07 19:20】 | 文献紹介
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