Kより発信
 2009年度の「賀川豊彦献身100年記念事業」をきっかけに、はじめて賀川豊彦の全体像について学びました。
以下、私なりに理解した賀川豊彦の思想をまとめた原稿の一部を掲載します。

 私は、「賀川豊彦献身100年記念事業」が行われた2009年には、賀川豊彦に関する講演を聴きや著書を読み「賀川豊彦がどんな思いで協同組合の創設に力を注いだのか」について問題意識をもって学びました。
賀川豊彦は、「労働力(人間)より商品の方を大事にする利益優先の資本主義」に反対で、マルクスの共産主義に共鳴するところもありますが、個人の自由や人格を軽視する「共産主義」「唯物論」にも反対でした。賀川豊彦が着目したのは、イギリスで生まれ発展していた協同組合でした。相互扶助・助け合いの精神による協同組合を生産者、販売、保険、信用、共済、利用、消費の各分野で発展させることによって経済活動が計画的なものになり、資本主義の景気・不景気の問題を克服できるものと考えました。更には、国家間でも協同組合国家どうしの貿易を行えば、戦争のない平和な世界が実現できるものと期待しました。賀川豊彦は、近代が生んだ資本主義と共産主義の欠陥を克服する第3の道として協同組合を考え、その発展に力を注ぎました。賀川豊彦は、協同組合を資本主義、共産主義の次の社会システムとして描いていたということを知ることができました。
その後の歴史は、賀川豊彦が予想したようにソ連共産主義の崩壊(1989年)、資本主義の暴走と破綻(2008年リーマンショックによる世界不況)を見ました。
 地球温暖化問題や資源問題は、待ったなしの状況になっていても対応できない現状。また生産力が上がり、GDPは増えてもホームレスが生まれる資本主義。賀川豊彦が考えたように、自己利益を最優先とする資本主義では、こうした問題を解決できないことを証明しています。賀川豊彦の先見的な思想と実践には驚かされました。

 以下の文は、賀川豊彦が戦後の1947年に発表した『新協同組合要論』の序文です。この文中から賀川豊彦の協同組合への思いが強く伝わってきます。                                      

「人間だけが共同社会を組織するのではない。鳥も、獣も、昆虫も、その本能に応じて共同社会を組織する。千鳥はシベリアを出発して赤道を南に越え、オーストラリアの南端、タスマニアの海峡で産卵する。彼等が組織する集団は、おどろくべき市街地の形を備え、街路をつくり、区画をとり、丸石を置き、1つの画に夫婦がひとつがいづつはいって、おどろくべき社会組織を形成する。
そこには暴力もなければ、武力も無用である。幾十万年間、彼等はその本能を変えない。シベリアを立つ時には、雄と雌とが別々の集団をなして南に飛ぶが、赤道を越えても決して乱婚はなく、そこには道義と秩序が人間の想像以上に完全に守られている。
私は千鳥のことを思うと、人間であることを恥しく思う。「空の鳥を見よ」とキリストは鳥を指差したが、私は小鳥から学ぶことが多い。千鳥には、敗戦もなければ革命もない。幾十万年間、赤道を北に南に人類の興亡を下にみて悠々と転地する。もし、千鳥類があの麗しい道義世界をつくり得るとすれば、人類に協同組合社会をつくり得ないという理由がない。人類は、いまや進化の過程にある。おそらく、近いうちに千鳥のごとく高度に進んだ協同組合社会を創造し得るであろう。私はその日のために、あらゆる努力を惜しまない。30年近く、私は日本の協同組合運動のためにたたかってきた。左翼からも右翼からも烈しい圧迫を受け、愚者のごとく組合運動のために努力してきた。そして、私はアメリカ政府の要求に応じて、1936年には、アメリカ合衆国47州協同組合運動の組織をお手伝いした。終戦後、日本を再建する唯一の道が協同組合運動にあることを信じて、同志とともに力闘した。」以下省略。 
(『賀川豊彦協同組合論集』1968年、明治学院生協発行)


【2010/04/24 23:12】 | ブログ
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